2009年10月15日木曜日

京都東山 何有荘

10/14に仕事先が所有されておられる京都の名園を訪問する機会を得た。明治時代に作られ、大正時代に現在の形を持つ様になった歴史あるとお庭だ。

比較的平坦な地形の多い京都にあって、傾斜を活かした庭園は数が限られる。何よりここの特徴は、明治、大正、昭和各時代の実業家に愛でられてきた庭であることだ。俗世間からの息抜きの場であるとともに、実業家としての交友を深める場としても機能してきたはず。

庭の隅々まで行き届く細やかな配慮と意図、多元的な視線を意識した空間のデザイン。何をとっても総合芸術として一級品の完成度だ。ただ、この庭は最近までは、オーナーに恵まれず荒れ果てていたと聞く。

この場の価値を理解されるオーナーの熱意と集中があって短期間でここまで復興された事に驚く。この様に総合的な自己表現の場を持てたかつての富裕層は本当に恵まれた時代を過ごしたのは事実だろう。現在、ここまでのものを作り出す、意識(あるいは執着)も時間的な余裕も、知力・技術も今は容易には手に入らない。

自身を振り返っても、戦前の祖先はここまでの規模ではないが、相当の庭園と屋敷を持ち、自ら所有する山と山荘を愛でる余裕を持っていたと聞く。もはや、作り出せないものにノスタルジーを感じることを、今日はあらためて確認した。

何有荘 http://www.kaiuso.com/

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