2009年11月25日水曜日

後戻りできない感

情報化・IT化が生み出したもの:人・サービス・モノ余り社会
前述の「構造的デフレ」もその一環なのだが、情報化・IT化による社会・消費の構造的な変化はとても大きな流れになっている。最近、その事の重大さを今更ながらかみしめている。

情報化・IT化は全社会的な領域で、価値や関係の再定義、流通の短絡化を実現した。結果、人、サービス、モノ・・・・全ての分野で余剰を生み出す持続的なトレンドが作り出された。

後戻りはもうできない:新しい産業の創造が求められている
私たちは、もはや短絡化したままで放置することはできないのだ。新しい価値を生み出すサービスや産業を急いで作り出さなければならない。もちろん既にその萌芽も沢山見ることはできる。ただこれで、人口の多くが暮らせるほどの産業になるか?といえばそこへ至る道はかなり遠い。

コモディティの拡大とシャッター通りの拡大
短絡化はコモディティ化するモノ・サービスを増加させる。加えて、コモディティ化したモノ・サービスの集中化を加速する。集中化で失われた需要は、駅前のシャッター通りの様に戻ってこない。水脈の流れが変わったのだ。次にそこに水が流れてくるのは、いつなのかは想像がつかない。

もちろん、全てがコモディティ化するわけでもなく、独自の価値を持つモノ・サービスはその居場所を作ることができるだろう。それが何なのか、そこを探すのも1つの答えだろう。

衛星国家としての立ち位置
あるいは、旧来のパラダイムから抜け出ることができなければ、近隣の物的な成長を遂げる国に依存して、成長のおこぼれにあずかることになる。独自の立ち位置を持てるかどうかが今、問われている。そうでなければ、日本は技術移転元としていずれお払い箱になるか、所得レベルを下げて、近隣の成長国に対抗できる製造国として生き残るしかないかもしれない。

未踏の道へ向けて進む決意をする時
ともかくももう、後戻りはできない。この数年で新たな道を見いだすことが、自分にとっても、日本にとっても求められている。実に面白くも、厳しい時代になったものだ。

2009年11月6日金曜日

Twitterって何が面白い? 新しい?

以前にも書いたが、長らく放置していたTwitterを最近になって触っている。加えて、自分だけでなく周囲の人たちにも、話題にし、勧めることが多い。新しいガジェットだからといって、面白がるだけだと10年くらい早くて、あまり実利につながらないことが多いのだが、今回は寝かせ具合が丁度良かったのではないかと思っている。

Twitterを機能で説明しても、何が面白く、新しいのかは、なかなか要領を得ない。「使ってみなければわからないよ。」というのが結論なのだが、それではあまりに不親切なのでいくつかの視点でその特性の説明を試みてみよう。

1)強迫観念につながらない適当なルーズさ
適当にルーズなのが良い。読むのも、書くのもあまり脅迫的にならない。「すべて漏らさずに対応しなければ。」といった程の切迫感が無い。だらだらと流れてゆくタイムラインは、時間が無かったり、気が向かなければとばし読みしても良いし、後から読み直すこともできる。また、個人宛のダイレクトメッセージや@メッセージはそれだけで見ることもできるので見落とす心配もあまり無い。 これは、垂れ流しのブロードキャスト的な感覚とメールが合体している様な特性。

2)私的な感じのままの社会や著名人とのつながり
私的な感じを基本とした、社会や著名人とのつながり感。実際の知り合いと各界の著名人のつぶやきやニュースが同じタイムライン上を流れて行く。まったくフラットな環境で同じように見える情報は、身近さを伴って自分の中に入ってくる。これは、携帯メールやポケットベルのコミュニケーションにちょっと似ている。(大分古いですね)
次に、インターネットメディアならではのハイパーリンクによる、情報の拡がりがあること。一見、私信的な感覚なのに、クリックするだけで、ブラウザーとシームレスにつながり、様々な情報へとつながってゆける。今までのハイパーリンクを使ったどのツールよりも拡がり感を僕は感じる。

3)増幅力の高い、自分の好みに合う知性・情報との出会いの拡大
各人の「フォロー」「フォロワー」というつながりの属性を容易に見ることができることで、その人の関心・交友領域を一目で見ることが出来る。気になる、あるいは共感する誰かのつながりを、部分的に引用することで、知りうる情報・知性との関わりの拡大を飛躍的に加速することができる。これまでもSNSやソーシャルブックマークでもあったが、その増幅度は最も大きい気がする。

4)新しいデバイスとの適合性
自分はPCとiPhoneでTwitterをしているが、iPhoneとの相性の良さが何より印象的だ。タイムラインを見るのに耐える画面サイズ。そこから画面をタッチするだけでハイパーリンク機能で情報をシームレスに見られるインターフェイス。写真やジオタグをささやきに組み込める機能性。140字という制限にぴったりなちょっとプアな入力環境。これはこれまでの携帯電話では実現できなかったし、スマートフォンでもなかなかここまでの、ぴったり感は無かった。その意味で、アンドロイドを含む次世代のモバイル端末をブレークさせるサービスとしての意味もありそうだ。

5)実名コミュニケーションの実験
これまでのインターネットのコミュニティツールと決定的にちがうのはここかもしれない。殆どの人、特にアクティブに発言する人たちの殆どが実名、または容易に実名を知ることができる状態で参加している。自分も実名で参加しているが、あまり不快な思いはしていない。メールと比較してもはるかにスパムは少ないが、これがどう防げるかが今後のカギになりそうだ。
とはいえ、実名のネットコミュニケーションが成立するのか?どこまで価値を持つのか?その意味で壮大な実験だとも言える。