2010年3月18日木曜日

グローバライゼーションが促進するコモディティ化と日本のものづくり

日本のものづくりへの危機感
最近、製造業を中心に様々な企業を訪問してお話を聞く機会をいただいている。その中であらためて感じているのは日本の製造業のアドバンテージがその価値を低めている点だ。消費の場も生産の場も中国を中心とした新興国に大きくシフトしている。中小を含む日本の製造メーカーの多くが、やむなく、生産拠点を海外にシフトしている。あるいは、日本国内生産にこだわるメーカーはその立脚点をどこに持てるかに苦慮している。

6・7分のモノが席巻する世界市場
中国等の新興国を中心とした市場拡大に、全世界が意識を集中している。少し前まで、コンピューター、薄型テレビといった電子機器は、その時代の先端的な技術をベースとして商品化されつづけてきた。しかし、今、多く求められているのは、その最先端ではなく、6割・7割の技術で実現される。安く、そこそこの製品たちだ。文句が出ない程度のクオリティ・デザインと買いやすい価格。そのバランスこそが競争力の源泉となっている。

しかし、その、レベルに於いて、日本企業のアドバンテージは殆ど無い。日本やヨーロッパから製造機器を購入して、安い人件費で製造すれば問題無く供給できるレベルのモノがその市場での主流派だ。対して、日本企業がアドバンテージを持てるのは、山の頂に近い七合目以上の部分での競争だ。しかし、市場の世界化はその領域を、相対的に矮小化してしまった。新興国の市場化によって、山のボリューム自体が拡大し、そこへの対応に世界中の企業と消費者の意識は注がれている。

コンピューター、薄型テレビ、自動車、半導体・・・・ 日本の得意分野だった市場が、グローバライゼーションの進展の中でどんどんとコモディティ化している、そして、中国や新興国のメーカーの得意領域となっている。

頂上技術・意識のマーケティングが必要
日本企業は海外に出て現地化する。その流れはもはや止められてない。しかし、日本ならではの強みをどこで担保するのか。日本の山の頂を目指す様な意識・技術と人材をどこで活用するのか。その展望と戦略が今問われている。先端的なものがその価値を弱める中、その価値を輝いて見せること、それを活かす場の定義・創造が求められている。アンチ・コモディティを実現するマーケティングの時代がこれからやってくる。