2010年5月30日日曜日

上海雑感 その1


4年ぶりに5/23(日)から5/28(金)までの6日間、上海へ行ってきた。万博会場内、日本館のイベントスペースで環境省主催の映像と展示事業の立ち上げを確認するのが目的だった。連日、1万人程の中国全国から集まった人々と直接接し、また観察する中で多くの気づきと感想を持ったそのいくつかを書き留めておこうと思う。

上海の街の変貌

まずは、会場外の上海市街で感じた印象から。前回の訪問からはたった4年なのだが、その変化は10年分位に感じる程大きかった。

移動手段の変化

市内を走る自転車とスクーターが激減。自転車レーンが歩道側に設置されているが、その利用者は少ない。4年前は一般市民の移動手段としてまだまだ主導的な感じがあったが、現在はクルマ、バス、地下鉄の利用からこぼれた、最も低所得な人たちをだけの乗り物にといった印象だ。

対してクルマが大きく、キレイになっている。4年前の中核モデルだった、VWの旧パサートはタクシーでしか見ることはできない。そのタクシーも同じVWのトゥーランが新しく主流になっている。ともかくも、古いクルマが無くなり、この2~3年程度の新しく見栄えのするモデルに入れ替わっていた。

人・街・香りの変化

それぞれの街は独特に香りがある。上海にもその香りがあるのだが、今回はそれを感じる機会がとても減った。薄茶色の水道水と同じ、かび臭い様な、苔臭い様な感じに、クローブや八角といったスパイスの香りが混じった独特の香りだ。今回は万博が目的だったこともあり、宿舎を万博会場のある新興開発地域、浦東(ブードン)に取ったので、尚更の様だ。東京よりほこりっぽい感じはあるものの、独特の香りはさほど強く無く不思議だった。

ただ、この疑問は、タクシーで元々の中心街のある対岸、外灘(わいたん)側を走り抜ける時に解けた。再開発されてビルやマンションの建ち並ぶブロックには香りが無く、古くからの建物が密集するブロックを通過すると、上海独特の香りが漂ってくる。要は、新規に開発された地域は香りが薄く、街全体の香りが薄いのも、それだけ再開発されたエリアが増えていることを表している。超高層のオフィスビル、高級マンション群の街にはもはやかつての香りは無いのだ。

ソーシャルディスタンスが限りなくゼロに近い国

中国に来てびっくりするのは人がどんどん自分に近づいていくることだ。最初はスリかひったくりかとギョッとするが、そうではない。ただ、人に近づく、触れる・ぶつかることに無頓着なだけなのだ。万博で人気パビリオンの行列に並んでみるともっとよくわかる。日本人ならストレスに感じる距離より、はるかに近く触れあう状態でも全然気にしない。それに、何の前触れも無く話しかけてくる人がほとんどだ。人に話しかけることにも何の抵抗も無い。疑問は直ぐに聞く、主張は遠慮無くする。これは、ベトナムやタイといった近隣のアジア諸国ともちがう独特の個性だと思う。

中国人の並び方

日本人は並ぶのが好き、あるいは得意な民族だと思っていたが、中国人もなかなかだ。万博会場の一番の人気館、サウジアラビア館などは連日6時間を超える時間人々が並ぶ。ただ、その並び方は日本人とは大分ちがう。まず、お得意の大声での会話、どなる様な(というか声を控えるという意識がゼロ)音量でずっと話し続ける。同時に、まるのままのキュウリやカボチャの種や乾し肉のようなものを食べ続け、その食べかすを下にどんどんと落とす・捨てる。前に少しでも隙間があれば、どんどんまえに進み隙間を埋めてゆく。途中の柵を乗り越えられそうなら、警備員のスキを見てどんどん乗り越える。ともかくも、自分のペースというか、回りを気にしない、というか、自分の良い様、思う様に行動し続ける。並ぶことが目的化しがちな日本人とちがって、中国人にとって並ぶことは、欲望の表現としての行為なのかもしれない。

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